リアル展 と オンライン展 の融合

オンライン展

新型コロナウィルスの影響により、展示会・見本市業界でも オンライン展 という新しい展示手法が生まれました。

昨年2020年3月13日には新型コロナウイルス対策の特別措置法が成立し、第1回目の緊急事態宣言が2020年4月7日に施行されました。コロナが世間を騒がせるようになって既に1年以上経つのだなと今まさに実感しています。

皆さんもご存知のように、昨年の3月あたりから国内外の展示会や見本市がパタリと開催されなくなりました。今現在、世界を見渡してみても、自国内の市場を対象とした見本市は復活しつつありますが、国際的な規模での見本市開催はまだまだ影を潜めています。

リアル展を開催したくても出来ない、参加したくても出来ないという状況が2020年は続きました。そんな状況下で、世界中でリアル展に代わってオンライン展が盛んに開催されるようになりました。

オンライン展のメリットは、「24時間世界中のどこからでも出展者もしくは製品サイトにアクセス出来ること」や、「リアル展に必要とされたリソースを大幅に削減出来ること」だと思います。リソースとは、主に出展準備にかける費用や時間、見本市に関係するスタッフの現地への渡航費・宿泊費などのことを指します。製品の輸送費、小間代、ブース装飾費用、各種事務局などちょっと考えただけでも、リアル展と比べると大幅にコストや時間を削減できることがご理解頂けると思います。一方でオンライン展のデメリットもあります。「製品を直接見ることが出来ない」、「直接のコミュニケーションが取れないことから信頼できる相手かどうか判断しにくい」などです。つまり、商談の場として様々な決断を下す上で必要となる情報や判断材料がリアル展に比べると圧倒的に不足しやすいのです。

一方で、リアル展ではオンライン展の弱点がそのまま強みとなります。「製品を直接見たり、手で触れたり出来ること」、あるいは「コミュニケーションがスムーズに行える」など、デジタル展に比べると、商談を進めるにあたって必要な判断材料や情報量が圧倒的に多いのです。加えて、見本市という場を通じて、世界中の取引先の人達と久しぶりに会って直接コミュニケーションを取れることは、何よりも嬉しい瞬間ですし、ビジネスを円滑に進めていく上で非常に重要な要素であることは言うまでもありません。多くの時間とコストをかけてリアル展に参加する企業や来場者が多いのもこういったメリットがある為です。

ここでオンライン展を少し具体的に考えてみます。例えば、消費財や雑貨などの見本市で、製品の魅力や特徴を上手く伝えられるように撮影された写真や動画も掲載されていて、既に信頼と取引実績があれば、オンライン展でも購入を決定してくれるバイヤーもいるでしょう。一方で、例えば、精密さが非常に重要で1台あたりの単価も高い工作機械の見本市においては、現場で直接加工する様子を見て判断しないことには購入の決断は難しいと思われます。

このように、リアル展とオンライン展にはそれぞれのメリットとデメリットがあり、かつオンライン展には比較的フィットしやすい業界とフィットしにくい業界があります。こういった背景を考慮した場合、これまでのリアル展を全てオンライン展に置き換えて代用するというのは、やはり現実的ではありません。とはいえ、新型コロナウイルスの影響によって急激に進んだオンライン化の流れは、コロナが収まったとしても止まらないでしょう。

リアル展が以前のように戻ってきたとしても、オンライン展のメリットを活かした展示手法やマーケティング手法を活用することで、より成果の高い出展に結び付けられるようになると思います。捉え方によっては、コロナ禍によってビジネスの可能性が広がったとも言えるのです。コロナ禍で急激に進んだデジタル化の流れに上手く乗っていける企業は、コロナ収束後の世界で間違いなく躍進を遂げることが出来るでしょう。インターナショナルなリアル展が一刻も早く復活してもらいたいと思う一方で、今はコロナ収束後に更なる躍進を遂げる為の自社製品のマーケティング手法を見直す良い機会なのかも知れません。

+117